美白成分として知られる“トラネキサム酸”ですが、皆さんは初めてその名前を耳にしたのはどのような場面でしたか?
大勢の方が、市販されていた飲み薬のCMでその名前を知ったのではないでしょうか?
製薬会社が、「肝斑をはじめとしたシミに効く」として発売を始めたのがトラネキサム酸の錠剤でしたが、そのうち資生堂が化粧品成分として開発し、それを配合した商品を発売しました。
資生堂は、トラネキサム酸の経皮送達(肌への浸透)と肌荒れ防止(または改善)をもたらす美容方法について、その効果を明らかにした発明として2011年に特許を取得しています。
日本を代表する化粧品会社が、その効果を自ら発表し特許まで取得した太鼓判の美容方法がトラネキサム酸のイオン導入というわけです。
では、発明内容の重要な部分を抜粋しながら、トラネキサム酸のイオン導入効果を確認してみましょう!
イオン導入によってトラネキサム酸の肌への浸透が高まり美白や肌荒れ改善をもたらす技術と、その化粧水(又はジェル等)について、それが(株)資生堂の発明と認められました。
発明の背景としては、トラネキサム酸は外用塗布では経皮吸収されにくいため、より高い美白効果をもたらすためにトラネキサム酸の経皮送達を高めることが強く望まれていた、ことが挙げられています。
※イオントフォレーシス=イオン導入
本発明は、イオントフォレーシスを利用した美容方法およびイオントフォレーシス用の組成物に関するものである。より詳細には、イオントフォレーシスによりトラネキサム酸の経皮送達を高めて美白あるいは肌荒れ防止または改善効果をもたらす美容方法、ならびにトラネキサム酸を含有するイオントフォレーシス用の組成物に関するものである。
出典:特許公報 株式会社資生堂 特許第4860940号
「イオントフォレーシスによるトラネキサム酸の経皮送達」【0001】
プラスのイオン導入、マイナスのイオン導入のそれぞれで経皮送達が高められたことが明らかにされています。
トラネキサム酸含有組成物*のpHを3.5から6.5の弱酸性にしてトラネキサム酸をプラスに荷電させ、かつプラス極側からのイオントフォレーシスを施すことによって、トラネキサム酸の経皮送達が顕著に高められること、さらには、pHを8.5から10.5の弱塩基性*にしてトラネキサム酸をマイナスに荷電させてマイナス極側からイオントフォレーシスを施すことによっても通常の外用塗布に比べトラネキサム酸の経皮送達が高められることを見出し、本願発明を完成するに至った。
出典:特許公報 株式会社資生堂 特許第4860940号
「イオントフォレーシスによるトラネキサム酸の経皮送達」【0010】
*トラネキサム酸含有組成物:ここではトラネキサム酸配合溶液
*弱塩基性:アルカリ性
トラネキサム酸のイオン導入とピーリングを前後に併せて行うことで、相乗的な美肌効果が見られたことも発表されています。
本発明の美容方法は、例えばケミカルピーリング施術後の皮膚に適用することができる。ケミカルピーリングによる乾燥、炎症、肌荒れ等を効果的に軽減することができると共に、相乗的な美白および美肌効果をもたらすことができる。
出典:特許公報 株式会社資生堂 特許第4860940号
「イオントフォレーシスによるトラネキサム酸の経皮送達」【0016】
イオン導入をすることによって“短期間”で“効率的”にその効果が得られることを伝えています。
イオントフォレーシスを施すことによって、トラネキサム酸の経皮送達を顕著に高めることができ、短期間で効率的に高い美白および肌荒れ防止または改善効果をもたらすことができる。
出典:特許公報 株式会社資生堂 特許第4860940号
「イオントフォレーシスによるトラネキサム酸の経皮送達」【0017】
トラネキサム酸濃度0.1%未満の化粧水では十分な効果をもたらすことはできず、反対に濃度10%を超えた場合でも濃度が高くなったからといってそれに正比例して効果がどんどん高くなるものでもないということが判明しています。効果が表れやすい好ましい濃度は1~10%であり、費用対効果として適切な濃度は1%~3%であると発表されています。
トラネキサム酸の配合量は、特に限定はされないが、組成物全量に対して、好ましくは0.1質量%~10.0質量%であり、より好ましくは0.5質量%~5質量%であり、さらに好ましくは1質量%~3質量%である。0.1質量%未満の配合量では、十分な美白または抗肌荒れ効果をもたらすことができない場合があり、また、組成物中10.0質量%を越えて配合しても、配合量の増加に見合った効果の増強が見られなくなり好ましくない。
出典:特許公報 株式会社資生堂 特許第4860940号
「イオントフォレーシスによるトラネキサム酸の経皮送達」【0019】