成分セミナー1【ビタミンC】ビタミンC誘導体
ビタミンCは、私たちにとって大変身近な成分です。
ビタミンCといったら、何を思い浮かべますか?
レモンやオレンジなどの柑橘類、ビタミンC配合の清涼飲料水やサプリメント、そしてなんといっても「日焼けをしたらビタミンC(=肌を白くする)」という概念が定着しているなど、体にとてもよい作用をもたらすもの、というイメージがあります。
そんなビタミンCですが、人の体にとっていったいどのような働きをし、どのような性質を持つ成分なのでしょうか?
ビタミンCは美肌の万能薬
ビタミンCの美白効果や抗酸化作用はよく知られています。また、肌にハリを与えるコラーゲン線維を増やす効果も認められています。そして近年注目されているのが、肌のキメを整え毛穴を引き締める効果と、皮脂の分泌を抑えることによるニキビの改善効果です。このようにしてみると、シミが薄くなり、小ジワも予防され、しかもキメと毛穴やニキビも改善されるなど、ビタミンCには様々な美肌効果があり、まるで万能薬のようです。
とてもデリケートなビタミンC
美肌の万能薬のようなビタミンCですが、そんなビタミンCにも致命的な弱点があります。それは、酸化しやすい非常にデリケートな成分であるということです。ビタミンCは酸素と結びつきやすいため非常に不安定な化学物質で、熱や光、空気(酸素)に触れることによって、徐々に壊れて効果も劣っていきます。また皮膚への浸透力があまりよくないので、化粧品に使用するのは難しい成分です。
このようなビタミンCの弱点を解決したのが、ビタミンC誘導体(プロビタミンC)です。 これは、純粋なビタミンC(ピュアビタミンC)に手を加えて欠点を改善し、壊れやすい性質を安定させ、皮膚に浸透されやすい形にしたものです。こうすることによって、ビタミンCの作用がより有効に発揮されるようになりました。
安定型ビタミンC
では、どのようにして不安定なビタミンCを安定させるのでしょうか。また、安定させるために手を加えても、ビタミンC本来の効果は発揮できるのでしょうか。
ビタミンCの安定性を高めるために、リン酸などの化学物質を結びつけるとその安定性はグッと増します。このように、リン酸と結びついたものを「リン酸型ビタミンC誘導体」 といいます。
リン酸と結びついたこのビタミンC誘導体は、肌に浸透すると皮膚に存在するフォスファターゼという酵素によって、リン酸と切り離され純粋なビタミンCに戻るので、ビタミンCとしての効果を発揮することができます。
水溶性のビタミンC誘導体のうち、このリン酸型は安定感が抜群です。リン酸アスコルビルマグネシウムやアスコルビルリン酸ナトリウムといった成分が、薬用をはじめとして化粧品に幅広く使用されています。