成分セミナー11【フィチン酸】フィチン酸
「ぬか床を毎日かき混ぜていたら、手が白魚のように白く美しくなった」という話を聞いたことはありませんか?
日本女性の間では古来、ぬか袋が皮膚に効果的であるとして知られていましたが、それには米ぬかに含まれる成分“フィチン酸”の働きに理由がありました。
フィチン酸とは?
フィチン酸は米ぬか由来の成分で、化粧品のほかには薬品や歯磨き粉などに、配合されている製品があります。分子量が小さく、イオン導入でお肌に浸透させることができます。
また、このフィチン酸を加水分解して得られるイノシトールという成分は、ビタミンB群の一種として広く医薬品・化粧品・食品に使用されています。 あまり馴染みのない成分“フィチン酸”ですが、万能な美肌効果を発揮してくれる大変有能な成分です。
美白作用
フィチン酸の美白作用は、大変おもしろいものです。通常の皮膚代謝サイクルでは、体内の免疫力を担うリンパ球のひとつ「マクロファージ」が、ターンオーバされずに肌の基底層や真皮内に残ってしまったシミの原因となるメラニンを異物と認識して貪食・除去します。
フィチン酸には、このマクロファージの機能を飛躍的に高める役割があり、できてしまったメラニンに対して効果を発揮します。
このように、フィチン酸はビタミンCなどがメラニンの生成を抑制する美白作用とは異なる働きかけで、美白の効果をもたらします。
キレート作用
人の皮膚には、食品や飲料水、たばこの煙、排気ガスなど生活環境をとおして有害な重金属(鉛、アルミニウム、カドミウム、水銀、スズ、ヒ素など)が少しずつ蓄積されています。
このようにして重金属が皮膚に蓄積していくと、細胞の動きが弱くなり、様々な肌トラブルの原因となります。
フィチン酸の働きのひとつに、これらの重金属と結合して、それを体外に排出して除去する[キレート作用]といういわゆる解毒作用があり、トラブルの発生を予防して健やかな肌を保つ働きをしています。