成分セミナー7【ビタミンC】ビタミンC誘導体の濃度とピュアビタミンC含有量

「ビタミンC誘導体●%配合」
化粧品のパッケージでよく見かけるコピーを見ただけで、高濃度のアイテムのほうがよいと思って選んでいませんか?
たしかにビタミンCは濃度比例タイプの成分なので、濃度が高くなるほどアプローチ力も強力になり、早く的確に肌へ働きかけてくれます。
けれども、ビタミンC誘導体はビタミンCそのもの(以下、ピュアビタミンC)とほかの物質が結合した成分なので、種類によってはピュアビミンCをあまり含んでいないタイプもあり、効果は必ずしも濃度比例ではありません。
ビタミンC誘導体の種類と含んでいるビタミンCの量(含有量)の関係がわかると化粧品が選びやすくなり、より効果的なスキンケアができるようになります。

高濃度配合なのに効果なし?大切なのはビタミンCの含有量

ビタミンC誘導体が高い濃度で化粧品に配合されていても、そのビタミンC誘導体のピュアビタミンC含有量が少ないと、働きが弱く効果を発揮しにくくなります。

何種類もあるビタミンC誘導体は、それぞれが含んでいるピュアビタミンCの量や、ピュアビタミンCに戻る方法が異なるからです。

ピュアビタミンCを多く含み、さらにビタミンC誘導体からピュアビタミンCに戻り易いタイプが、より肌へのアプローチ力が高いので、単純に配合濃度だけで効果を期待することはできません。

ビタミンC誘導体とピュアビタミンCの違い

ビタミンC誘導体は種類によって結合している物質が異なり、内包しているピュアビタミンCの量にも違いがあります。この違いによって、ピュアビタミンCに戻ったときのビタミンC作用に差が出ます。

まずはビタミンC誘導体がどのような物質かを、あらためて理解しましょう。

ビタミンCは万能の美肌成分ですが酸化しやすく不安定なので、化粧品に配合するためにほかの物質をくっつけて安定させたのがビタミンC誘導体です。

ピュアビタミンCがどんな物質とくっついているかによって、ビタミンC誘導体の種類が異なります。リン酸と結びついたものは「リン酸型ビタミンC誘導体」、グルコースと結びついたタイプは「グルコシド型ビタミンC誘導体」などと呼ばれています。

3. ビタミンC誘導体の種類とピュアビタミンC含有率

ビタミンC誘導体を構成する結合物質とピュアビタミンCの含有量に注目して、代表的な成分をチェックしてみましょう。

APS
(リン酸アスコルビルMg)
リン酸とマグネシウムがピュアビタミンCに結合したビタミンC誘導体。肌内で酵素のホスファターゼによってリン酸部分が切り離され、ピュアビタミンCに戻って作用する。イオン化しやすくイオン導入に最適。ピュアビタミンC含有率63.3%
APN
(アスコルビルリン酸Na)
リン酸とナトリウムがピュアビタミンCに結合したビタミンC誘導体。肌内で酵素のホスファターゼによってリン酸部分が切り離され、ピュアビタミンCに戻って作用する。イオン化しやすくイオン導入に最適。ピュアビタミンC含有率54.7%。
AA―2G
(アスコルビルグルコシド)
ピュアビタミンCにグルコースが結合しているビタミンC誘導体。肌内で酵素のα-グルコシダーゼによりグルコースが切り離されピュアビタミンCとなるが、α-グルコシダーゼはヒトの肌には少ないため切断されにくくピュアビタミンCに戻りにくい。安定性に優れるため汎用度が高く、多くの化粧品に配合されている。ピュアビタミンC含有率52.1%
VCエチル
(3-O-エチルアスコルビン酸)
ピュアビタミンCにエチル基が結合しているビタミンC誘導体。肌内に入っても酵素によって切断されないが、ピュアビタミンCと同様の作用を発揮できる。高価なので化粧品への配合量は少ないが、含有量が多いので濃度が低くても一定の作用が期待できる。ピュアビタミンC含有率86.3%。
VC-IP
(テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)
ピュアビタミンCに2-ヘキシルデカンサンを4つ結合したビタミンC誘導体。肌内で酵素のエステラーゼによって切り離され、ピュアビタミンCとして作用する。誘導体では唯一の油溶性で安定性に優れ保湿力もあるが、含有量は少ないため高濃度のものが好ましい。ピュアビタミンC含有率15.6%。
APPS
(パルミチン酸アスコルビル酸3Na)
APS(アスコルビルリン酸Na)にパルミチン酸を結合させ、水溶性と油溶性の性質を持たせたビタミンC誘導体。肌内で酵素のホスファターゼとエステラーゼによってリン酸とパルミチン酸が切り離されてビタミンCとして作用する。両親媒性のため浸透しやすいが含有量は少ない。ピュアビタミンC含有率31.4%。

※含有率とはビタミンC誘導体を同じ分量で比べたときに何%ピュアビタミンCを含んでいるかを表す

効果的にビタミンCを肌へ届けるポイントは含有量!

ビタミンC誘導体は、種類によってビタミンCの含有量に違いがあり、化粧品に配合されている濃度の高さだけでは単純に比較することはできない成分です。

また誘導体に結びついている物質によっても、肌内に入ってからのビタミンCの作用にも差が出ることがわかっています。

ビタミンC誘導体は濃度に比例して高価が期待できる成分ですが、即効性や持続性、浸透力などの特徴を理解し、配合されている種類を確認しながら化粧品を選ぶのがおすすめです。

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